変な旅?6

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変な日記集2




夢を見ている



真っ黒い空を



光が一つ



まるで仲間を探しているかのように



暗黒の中を飛び回っている



僕の上をクルクルと



僕は手を伸ばしたかった



僕は叫びたかった



しかし



ドロドロとした何かに自由を奪われ



何も出来ず



光は遠くに行ってしまった



寂しい

暗い

怖い




誰か・・・

空をみている



真っ黒で


重く沈んだ






粘着質な黒い海は

身体の自由を奪い

粘着質な黒い液は

口から出る一切の言葉を奪った


粘着質な黒い空気は

僕の心に染み込んで

全ての自由を奪った



僕は目を閉じ

一切を遮断した

夢をみている



走馬灯のように様々な光景が駆け巡る



友達は言う

「いつかさ、お前言ったじゃん・・・
  諦めないでさ・・・昨日出来なかった事も明後日には出来るようになるかもって・・・」


そして、数日後、あいつ口笛を吹けるようになったっけ・・・



友達は言う

「全力って、ほんとに100%なの?
  思ってるだけで、100%じゃないかもよ?」


そして、次の日筋肉痛で動けなくなったっけ・・・



友達は言う

「今はさ、今、出来ることをやればいいんじゃない?」


そして、奴は夏休みを謳歌したっけ・・・



友達は言う

「休憩じゃねぇ!充電だ!
  元通りじゃなく数倍の力を発揮してやるぜ!」


そして、あいつは奇跡の逆転ハットトリックかましたっけ・・・



友達は言う

「早く風邪治せよ、お前が居ないとつまらんのよ」


そして、病み上がり遊びすぎてぶり返したっけ・・・



あいつら・・・今頃何やってんのかなぁ・・・


また、遊んで筋肉痛になって・・・




そういえば、家の留守大丈夫かなぁ・・・


大神君や鮫島君、変な事してないかなぁ・・・


心配だな・・・



「見下してんじゃねぇよ!!」

あ、これはモグラ・・・

あの可哀相な弟は何してるんだろう・・・無事かなぁ・・・



『戻ってくる時、教えてくれんか? 向こうに何があったのかを・・・』

あの山であったじいさん・・・

伝えなきゃな・・・



『春になるとな、すっげぇ綺麗な桜の花が咲くんだよ、・・・ほんと綺麗なんだ』

あの猫だ・・・

あの胸の苦しみ・・・

何か出来るんじゃないかって胸の苦しみ・・・

僕は今・・・何も出来ない・・・



「走れ! 跳べ! 頑張れ!」

あのバッタ・・・

走れ、跳べ、頑張れ・・・か・・・

僕は・・・今・・・何も出来ないな・・・はは



「大丈夫ですか?」

ああ、天使のユカリさんの声だ・・・

はは・・・

大丈夫・・・・・・じゃ・・・無いです・・・



「・・・この町からどうやって出るつもりですか?」

看護士の人だ・・・

どうやって・・・



もう・・・無理かな・・・



どんどんと光景が流れてゆく



それらはとても輝いてて


たまらなく切なくて



とても


とても


さみしくなって



ボロボロの僕は



泣くしかなくて・・・





『生きていれば、涙は出るもの。生きているなら、涙を拭いなさい』


病院でこれを聞いた・・・


この言葉がとても温かく聞えたなぁ・・・






『人は弱いな・・・』


内藤君・・・


僕は・・・弱い・・・ね・・・


このまま僕は・・・・





『生きてるか?』

これは・・・

内藤君に助けられた時の・・・



もう・・・諦めてるけど・・・・


まだ・・・・





まださ・・・・








まだ・・・・・生きてるよ・・・


まだ・・・じいさんに教えてないよ・・・


まだ・・・何か出来るんじゃないかって思ってるよ・・・


まだ・・・筋肉痛にも・・・100%も・・・まだ・・・


まだ・・・まだ・・・まだ・・・まだ・・・








生きているなら、涙を拭いなさい





僕は目を開き

真っ黒な空を見た



身体中の力を勇気を希望を全て解放した



身体を縛る黒い粘液はブルブルと波立ち


声を奪った黒い粘液はゴボゴボと泡立ち


溢れ出て




・・・・・・オ・・オオオオオオオ!!

叫び声が空気を震わせた


ミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチ・・・


水面から腕を出そうと


もがく


もがく


水面が激しく波立つ


ミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチミチ


周りの黒い粘液はまるで生き物のように僕の咆哮に反応する


ドロドロとした粘液はウネウネと蛇のように飛び散ってゆく


肩のあたりが隆起し


ミチミチミチミチミチミチミチミチミチ



肩が水面から出た


瞬間


勢いよく右腕が水面を突き破った



何かを掴み取るように力いっぱい右腕を空に伸ばした





光が


どこかへ消えて行った光が手の先へ来ていた



僕はそれを強く握りしめた



とたん

光が爆発した

目を開けると


そこにはユカリさんと青空が僕を見下ろしている


ここは?


外?


何故外に・・・?


『く・・・苦しい』


内藤君は苦しそうな声でうめいた


それもそのはず、僕が内藤君の首元を握り締めていたから・・・


うわっ、ごめん内藤君


内藤君は涙目でげほげほと咳き込んでいる


痛っ・・・


拳が痛い・・・


「おはようございます」


あ、おはようございます

僕は寝ていたカプセルからのっそり体を起こし
周りを確認した

が、いまいち状況が飲み込めない


・・・え〜と・・・


「あ、私です、以前病院へ案内した・・・」

あ、いや、ユカリさんの事は覚えていますよ・・・

この状況がよく分からないのです・・・

何故・・・外に、そして2人が・・・?

確か研究所に・・・


「えっと・・・一から説明しますね」

ユカリさんはこの町に起きている事を僕に話した


町が狂ってしまったのです

・・・と

ユカリさんは悲しそうな顔で言った


この町の人々が暴徒となり自分の町を荒し

そして治安を守るべき警察もその暴徒の一員となっているようだ


物の奪い合い、暴力沙汰の絶えない日常が当たり前になってしまったのです
大好きだったこの町が・・・人々が・・・こんな事・・・

そう言い、ユカリさんは空を仰いだ


『そこで、お前を推薦したわけよ』

内藤君がカプセルの端に飛び乗った


へ?

嫌な予感がする

『町中こんなんだから、お前もかな?って思ったけど・・・良かったよ』


・・・


『この町を助けるんだ!』


あの・・・


『もう、お前しか居ないんよ・・・まともに動ける人間は』


・・・ちょっと・・・原因って分かってるの?


これは、まだ推測でしかないのですが
ユカリさんがスクッと立った

きっと、町に流れていた・・・ラジオです。

私の推測ですが
あのラジオ放送には何か感じるものがありました

最初はそんな事無かったのに、徐々に、ゆっくりと何かが変わってゆきました

何を感じたかははっきりと説明できないんですが・・・


言うなれば・・・悪意です。




『そういうことだ、行くぞ?』
内藤君が僕に言った


どこへ?



放送局へ!

2人の声が合った

ラジオかぁ・・・


夢の中で声が聞えてたような気がする・・・


そういえば、このカプセルにも・・・



カプセルに備え付けられていたスピーカーはベッコリへこんでいた



なるほど・・・



僕はさっきからジンジンする拳をみた

・・・



サブリミナル効果・・・かな?


僕は内藤君に聞いてみた




『かもな、まさか魔法みたいな高度な事そうそう出来や―』

「出来ますよ?」


ユカリさんが言った


僕らは目を丸くしている



出来るんですか・・・


「ええ、天使ですから」


・・・


なら、ユカリさん一人で解決出来るのでは・・・?


と、僕が言うと内藤君がキッと僕を睨んだ

この薄情者!・・・と言った表情だ


内藤君が『お前は冷たいんよ、助け合いこそ美しいモノだと〜』等
言いながら僕の肩に留まり

『良いお近づきのチャンスなんだよ・・・』
小さな声で耳打ちした

ああ、ラヴリーエンジェルって・・・


「ダメなんですよ・・・」
ユカリさんは微笑みながら言った

「私たちはこの世界に直接干渉してはいけないんですよ
助ける事は出来ても解決する事はしちゃだめなんです」

ユカリさんは微笑んだままだが、もどかしそうにしている


自分達の力で解決させなきゃいけない、自分達の世界なんだから・・・
という事ことですね・・・


「ええ・・・私たちは無力なんですよ・・・」


『いや、そんな事はないですよ、この危機に気付けたし、それに』

よし、行こう!まだ、僕らは何か出来る筈だし


僕は光を掴んだ手を見つめた


『かっこいい事言うようになったなぁ・・・』


ニヤリと笑い、僕らは放送局へ歩き出した



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