貴婦人の悩みは愛ゆえに の巻



切望の夜
絶望の朝
残酷な白昼夢

「……は?」
かっこいいだろ? この詩
「……人生を意味してるのか?」
変化を期待する不変な人間の詩だ。
「いやにネガティブだな」
変化を期待してる奴はネガティブだ。
「決めつけんなよ」
一般論だ。
「切望の夜、絶望の朝、残酷な白昼夢
            でも、そう捨てたもんじゃない」

ギッ

教会の扉が開いた。

「ああ、神父様。私の悩みを聞いてもらえるザマスか?」
紫の高価そうな服装につり上がった眼鏡、キツイ香水の香り。
いかにも貴婦人な格好をした40前半の女性が現われた。
名はマーマ。上流階級の婦人だ。

「くさっ!」
「くさっ!」
二人の声が重なった。
「何の臭いザマス! ちゃんと掃除はしているザマスか?」
マーマは羽根付きの扇をパタパタと扇ぎながらルイズベストの方に近寄ってくる。
「あんたの臭いの方がキツイんだけど……」
「まぁ! 何て事を言うのでしょう!? 私が使っている香水は滅多に手に入らない高級品でございますのよ。
                          ま、あなた方には分からない匂いかもしれませんわね。おほほほほ……」
マーマは高らかに笑っている。
「無理して手に入れんでくれ」
ルイズベストは毒づいたがマーマの笑い声にかき消された。
「で、何の用だ?」
「そうでしたわ、実は私の大事なスネちゃまの事なんザマス」
マーマがそっと耳打ちした。
「スネちゃま?」
ルイズベストはマーマから少し距離を置いて聞き返した。
「スネちゃまは私の宝物ザマス」
「で? そのスネちゃまがどうした?」
「実は……誰にも言わない約束をしてくれるザマスか?」
マーマは真剣な顔をして言った。
「ああ、まぁ」
マーマは疑うような顔でジッとルイズベストの顔を観た。
「……まぁ、神に仕えるものですし大丈夫ザマスね」
マーマはルイズベストが神に仕えていないことを知らなかった。
ルイズベストも説明をするが面倒なので無視をした。
「スネちゃまの悪癖の事なんザマス」
「悪癖? どんな?」
マーマは扇を口に当て言った。
「他人様の物を盗むザマス」
「……窃盗か」
ルイズベストはマーマの顔を見た。
「も、勿論やめる様に注意しているザマスよ! それに好きなものは買ってあげているザマス!」
「でも、やめない……か?」
「そうなんザマス、いくら言っても駄目ザマス」
「いっそのこと鎖で繋げば?」
ルイズベストは冗談交じりで言ったが
「それはもうやったザマス」
と返ってきた。
「やったのか……!?」
ルイズベストはため息を吐いた。
「バシッと頭でも叩いて叱ってやればいいんじゃないか?」
マーマは驚いた顔をした。
そんな事出来ないザマス! スネちゃまを叩くなんて……」
マーマは顔をブンブンと横に振っている。
「愛があれば出来るだろ?親としてしっかりしろよ」
ルイズベストは呆れ顔で言った。
「愛があるから出来ないザマス!」
ルイズベストは苦笑いを浮かべた。
「警察行きな。それで万事解決だ」
マーマはひどく慌てて言った。
警察沙汰は駄目ザマス!スネちゃまがかわいそうザマス!
「警察沙汰が嫌なのはあんたじゃないのか?世間の顔が気になるかとか……」
「……そんなんじゃないザマス」
マーマは沈痛な顔をして否定した。
「スネちゃまが帰ってきたらギュッと抱きしめて、お帰りって言ってやるのも親の愛だろ?」
マーマは黙っている。
「説得して警察に行きな。牢屋に入れられてもすぐ帰って来るさ」
ルイズベストが諭すとマーマは意を決した様に
「分かったザマス。帰ってきたら強く抱きしめてあげるザマス」
と言い、教会を出ていった。






くくくくくっ(笑)
「何笑ってんだよ」
いや別に…。明日の新聞が楽しみだ。
「何だ?」







次の日、朝刊の記事には
猿逮捕!?
の文字があった。



「スネちゃま…って!?」

ぷっ(笑)




そう捨てたもんじゃないな。


終わり




あとがき

オチがつきました。・・・つきました?

人物の名前を考えるのが難しいです。一目でわかるような名前を付けていこうと思ってるんですが・・・。

説明or文字


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